RESEARCH EVENTS

これまで下記のような研究セミナー等のイベントを開催しました。全て日英共同のものであり、オンラインセミナーでは同時通訳を入れて日本語でも公開し、日英から多くの方に参加していただきました。動画リンクも掲載してありますが、アーカイブ資料としてのセミナー記録については著作権の関係から日本語通訳は入っておりません。総括シンポジウムは公開しています。使用言語は英語ですが、日本語字幕がついています。

Research Seminars 研究セミナー

テーマ1.  日英オンラインセミナー

(1)「文化鑑賞・参加行動-日英両国における調査結果から」

日 時:2022年12月2日
時 間:19:00-20:30(日本時間)、10:00am-11:30am(ロンドン時間)
場 所:Zoom

19:00-19:05開会の挨拶 河島 伸子(同志社大学教授)
19:05-19:15「日英国際共同研究の目的と今回の調査の趣旨」
ヘギョン・イー(キングス・カレッジ・ロンドン教授)
19:15-19:25プレゼンテーション1:「日本における文化鑑賞・参加行動 - 調査結果より」
迫田 さやか(同志社大学准教授)
19:25-19:35コメント1 片岡 栄美(駒澤大学教授)
19:35-19:45プレゼンテーション2:「イギリスにおける文化鑑賞・参加行動と文化に関する価値観」
サナ・キム(キングス・カレッジ・ロンドン 文化・メディア・創造産業学科)
19:45-19:55コメント2 アンドリュー・モーラ(アーツ・カウンシル・イングランド)
19:55-20:25質疑応答・ディスカッション
20:25-20:30  総括コメント 河島 伸子

登壇者プロフィール

片岡 栄美(駒澤大学文学部教授)​
​専門:文化社会学・教育社会学・社会階層論 博士(社会学)​
大阪大学大学院人間科学研究科博士後期課程単位取得退学、大阪大学人間科学部助手、関東学院大学文学部教授を経て、2006年4月から現職。日本教育社会学会理事(2007-2011,2013-2019)ほか。​
主著:『趣味の社会学 文化・階層・ジェンダー』青弓社(2019)、『文化の権力 反射するブルデュー』ほか略。https://researchmap.jp/read0031286​

アンドリュー・モーラ(アーツ・カウンシル・イングランド)
アーツ・カウンシル・イングランド(ACE)のリサーチ部門ディレクターで、ナショナル・リーダーシップ・グループのメンバーでもある。ACEの戦略「Let‘s Create」の効果をよりよく理解し、芸術・文化について最善の事例を作るためのリサーチと評価を委託する最終責任者である。2013年にACEに参加する以前は、Northwest development Agencyのリサーチ部門シニアマネージャー、ビジネスロビー団体のリサーチ部門長を務めた。また、民間企業や公的機関が社会の変化に影響を与えるためのリサーチの分野で幅広く活躍している。​

英国と日本の政策立案者、研究者、実務家、学生など85名が、英国と日本の文化への関わり方、芸術に対する態度、文化的な関わり方について、初の英国・日本オンラインセミナー「文化鑑賞・参加行動-日英両国における調査結果から」(2022年12月2日)に参加しました。セミナーはすべて同時通訳され、参加者はすべてのプレゼンテーションに簡単にアクセスでき、言語の障壁なく質疑応答に参加することができました。講演者は、迫田さやか氏(同志社大学)、サナ・キム氏(KCL)、片岡栄美氏(駒澤大学)、アンドリュー・モーラ氏(アーツ・カウンシル・イングランド)でした。 議論は、日本の非関与率の高さ(約40%)、芸術への関心のなさの根強さ、芸術への関心と社会参加の強い相関関係、文化の民主化の必要性に焦点を当てました。このセミナーでは、政策立案者や研究者の文化的背景が文化に対する理解にどのような影響を与えるか、文化政策がその範囲を超えてさまざまな文化活動に対応できるか、芸術助成の地方分権化が文化政策の民主化にどのように役立つかについて検討しました。デジタル化された文化の役割に関する重要な問題提起がなされ、2024年のテーマ3の活動で詳細に検討することになりました。

動画リンク https://youtu.be/01mpXNndiBU(オリジナル動画につき、同時通訳はございません)

テーマ1.  日英オンラインセミナー

(2)「文化鑑賞行動と文化に関する価値観と社会・人生への価値-日英両国における調査結果から」

日 時:2023年2月24日
時 間:19:00-20:30(日本時間)、10:00am-11:30am(ロンドン時間)
場 所:Zoom

19:00-19:05開会の挨拶 河島 伸子(同志社大学教授)
19:05-19:25プレゼンテーション1:「文化の価値、文化政策の価値-イギリスにおける調査結果より」
サナ・キム(キングス・カレッジ・ロンドン 文化・メディア・創造産業学科)
19:25-19:45プレゼンテーション2:「人々の一般的な価値観と文化に関する価値-日英調査結果より」
八木 匡(同志社大学教授)
19:45-20:00コメント デビッド・スロスビー(マッコーリー大学経済学部特別教授)
20:00-20:25質疑応答・ディスカッション
20:25-20:30閉会

登壇者プロフィール

デビッド・スロスビー(マッコーリー大学経済学部特別教授)​
ロンドン・スクール・オブ・エコノミクスPhD。文化経済学者として世界中でよく知られ、日本語他等8か国語に訳された著書(邦題)「文化経済学入門」「文化政策の経済学」はいずれも広く読まれている。現在は文化遺産の経済学、創造産業、芸術家の経済状況、先住民文化の経済、持続可能な成長と文化、経済と文化政策の関係などを研究している。ヴィクター・ギンズバーグ教授と共編著でまとめた「文化と芸術の経済学ハンドブック」全2巻もある。​

第2回目となる本国際オンラインセミナーには、英国と日本の政策立案者、研究者、文化事業従事者、学生など65名が参加しました。講演者は、サナ・キム氏(KCL)、八木匡氏(同志社大学)、デビッド・スロスビー氏(マッコーリー大学)の3名でした。発表と質疑応答では、文化政策における本質的価値と手段的価値に関する20年にわたる議論に疑問を投げかけ、英国国民が幅広い文化価値と社会価値に広く同意していることに焦点が当てられました。またこのセミナーでは、日本の文化価値と日常生活/個人的価値の関係について探求しました。文化への関与の主要な要因として、社会貢献的な態度の重要性があることの発見もありました。本セミナーでは、英国と日本の文化政策の将来について、次の2つの根本的な疑問が提起されることとなりました。(1)政策立案者の狭い文化観や文化参加における社会的要因の役割を除いた、国民の豊かな文化的生活を考慮した場合、現在の政策の範囲は適切であるか?(2)国民が文化や社会のあらゆる価値を等しく重要であると認識している場合、政策の優先事項は何か、また、その決定はどのように行うべきか?

動画リンク https://youtu.be/-NdX-RJ-Rpo(オリジナル動画につき、同時通訳はございません)

テーマ2.  文化労働に関する国際ワークショップ

このワークショップでは、イギリス側のチームが京都を訪れ、このテーマに関する調査報告をともに議論しました。日本側ではチーム外の専門家を招き、多くの知見を得る機会となりました。こちらは主にチーム内のワークショップとして企画され、次の公開セミナーへと展開していきました。

日 時:2023年6月24日、25日
場 所:同志社大学今出川キャンパス 良心館

参加者:
河島 伸子、八木 匡、迫田 さやか、佐野 直哉.小林 瑠音
へギョン・イー、サナ・キム
秋野 有紀(早稲田大学教授)
落合 千華(一般社団法人CoAr代表理事、芸術団体コンサルタント)
菅野 幸子(AIR Labアーツプランナー/リサーチャー)
大山 真司(立命館大学教授)
照井 敬生(西安交通リヴァプール大学、英国文化政策、KCL)

使用言語:英語

6月24日(土)

10:00-11:00プロジェクト企画(日英プロジェクトメンバーのみ)
11:10-12:30フォーカス・グループの結果報告(河島 伸子)と文化資本、文化消費、価値観に関するディスカッション
12:30-13:45昼食
13:45-17:00専門家セッション、日本の文化政策、社会政策、労働政策の変化における文化労働
専門家による講演と質疑応答(各1時間)
1.作田 知樹(Arts & Considerations創設者、アーティスト・クリエイターの法律アドバイザー)
当日出席が叶わなかったため、後日、研究メンバー佐野直哉氏が対面でインタビュー取材を行った。
2.落合 千華(一般社団法人CoAr代表理事、芸術団体コンサルタント)
3.秋野 有紀(早稲田大学教授)
日本・英国・フランス・ドイツ・米国・韓国の調査を統括した報告書に基づき、日本の課題についての議論があった。
4.へギョン・イー
韓国における過去10年間の政策展開
全員による総合討論
17:00終了

 6月25日(日)

10:00-11:30文化労働に関する日本の知見報告(佐野 直哉、小林 瑠音)
11:30-13:00文化労働に関する英国の調査結果報告(サナ・キム、ヘギョン・イー)
13:00-14:00昼食
14:00-15:30プロジェクト企画その他(日英プロジェクトメンバーのみ)
15:30 終了

テーマ1.  日英オンラインセミナー

(3)「文化セクターで働く人々と労働―文化政策の対応と課題―日英両国における調査結果から」

日 時:2023年11月9日
時 間:19:00-20:30(日本時間)、10:00am-11:30am(ロンドン時間)
場 所:Zoom

19:00-19:05開会挨拶
19:05⁻19:25報告1「文化セクターで働くフリーランスの雇用不安とそれに取り組む政策的アプローチ-英国の事例から」
サナ・キム(キングス・カレッジ・ロンドン 文化・メディア・創造産業学科)
19:25⁻19:35報告2「日本の文化芸術分野フリーランスの不安定さに関する現場からの声」
佐野 直哉(上野学園大学音楽学部准教授)
19:35⁻19:45報告3「コロナ禍の日本の文化政策」
小林 瑠音(芸術文化観光専門職大学講師)
19:45-20:00調査結果へのコメント
シグリッド・ロイセン(ノルウェー音楽アカデミー教授)
20:00-20:25質疑応答、議論
20:25-20:30閉会

登壇者プロフィール

シグリッド・ロイセン(ノルウェー音楽アカデミー・文化社会学教授/BIノルウェービジネススクール・アートマネジメント教授)​
文化政策、文化的起業家精神、リーダーシップや社会における芸術家の役割についての書籍や論説を多数執筆している。現在、国際文化政策学会学術委員会のチェア、ならびにJournal of Empirical Research on Culture , the Media and the Arts, International Journal of Cultural Policy, Norwegian Journal of Sociologyの編集委員を務めている。2023年には、ノルウェー政府より、自国の音楽分野についての調査や提言を行う専門家グループのリーダーに任命された。また、音楽アカデミーでは博士課程委員会の議長ならびにアートマネジメントのエグゼクティブ・プログラムのヘッドを務め、BIビジネススクールに於いてはExecutive Master of Management programs in leadershipの指導を行っている。​

英国と日本から66名の政策立案者、研究者、実務家が参加した日英オンライン研究セミナー「文化セクターで働く人々と労働―文化政策の対応と課題―日英両国における調査結果から」が開催され、SCFの学術パートナー(KCLと同志社大学)がテーマ2に関する中間調査結果を発表しました。同時通訳により、参加者は言語の障壁を感じることなく、すべてのプレゼンテーションにアクセスし、質疑応答に参加することができました。セミナーは録画され、録画は英語、日本語、オリジナル言語の3バージョンがセミナー終了後3ヶ月間YouTubeで公開されました。

講演者は、サナ・キム氏(KCL)、佐野 直哉氏(上野学園大学)、小林 瑠音氏(芸術文化観光専門職大学)、シグリッド・ロイセン教授(ノルウェー音楽アカデミー)でした。セミナーでは、英国と日本における文化分野のフリーランサーの不安定さという課題に対処するための政策アプローチについて検討しました。シグリッド・ロイセン教授はノルウェーの状況から貴重な洞察を加え、3か国に共通する課題について指摘しました。議論では、支援・キャンペーン団体などの仲介組織の役割、および社会保障、税金、事業管理などの分野において、政策立案にフリーランサーを関与させ、「自己管理」スキルを身につけさせることの重要性が強調されました。セミナーでは、将来のアーティストや文化事業従事者に対して、彼らの社会的価値や意義についてより良い教育を行い、彼らがより効果的に生活を擁護できるようになるべきであることが強調されました。文化政策立案者には、さまざまな政策領域(すなわち、社会政策、労働政策、経済政策)にわたる議論と対応をまとめる仲介役を担うことが求められるという指摘、また、社会におけるアーティストの役割と価値について重要な問題提起も行われ、文化的な価値に関する現在進行中の議論を再検討し、活性化させることを提唱しセミナーを閉じました。

動画リンク https://youtu.be/rYYOI_YVshg (オリジナル動画につき、同時通訳はございません)

テーマ3.  日英ワークショップ(専門家セッション)

2024年6月5日、英国SCFチームはロンドンで2つの専門家セッションを開催し、招待客12名と同志社大学チームのメンバーが「持続可能な文化の未来ワークショップ」に参加しました。このイベントでは、デジタルイノベーション、著作権、文化政策の交差点について、洞察に満ちた4つの講演が行われました。講演者は、アルーナ・バゲールティ氏(アシュモレアン博物館)、トニー・ギラン氏(独立コンサルタント)、タニア・アプリン教授(キングス・カレッジ・ロンドン)、照井 敬生講師(西安交通大学)でした。

セミナーでは、デジタルテクノロジーが文化機関に与える変革的な影響と、AI生成コンテンツを取り巻く法的複雑性について幅広く検討しました。最初のセッションでは、アルナ・バゲールティ氏が、アシュモレアン博物館のデジタル化への取り組みをケーススタディとして、デジタルアクセシビリティに向けた文化機関の変革の道のりを探究し、デジタル資産の保護における安全なテクノロジー管理の重要性を強調しました。トニー・ギラン氏は、没入感のある体験を生み出すデジタルテクノロジーの可能性、観客を効果的に惹きつけるためにデジタルプラットフォームのサブカルチャーを理解することの重要性について議論を展開しました。

第2部の専門家セッションでは、タニヤ・アプリン教授が、現在の著作権の枠組みにおけるAI生成コンテンツの法的複雑性と、デジタル時代における公正な帰属を確保するための新たな法的戦略の必要性を検証し、言論の自由と著作権の執行のバランスを取ることの重要性を強調しました。照井隆生氏は、日本と英語圏諸国におけるAIと著作権政策の比較分析を行い、日本の文化庁のアプローチと、日本のクリエイティブ産業を支えるために著作権保護を拡大する必要性を強調しました。ワークショップは、文化産業の未来を形作る政策の重要な役割についての議論で締めくくられ、デジタル時代のダイナミックな課題に対処するための革新的な解決策を提唱しました。

Symposium シンポジウム

日本文化の構造 -文化の持続性を支える経済構造―

日 時: 2024年10月19日
時 間: 13:30-16:30
会 場: 同志社大学良心館RY107教室

本シンポジウムは創造経済研究センターとライフリスク研究センターが主催し、日本文化の持続性を支える経済構造について議論しました。基調講演には、増田 晶文氏を招き、江戸時代のマルチメディア戦略を推進した蔦屋 重三郎によって、江戸文化が花開いたメカニズムを議論しました。また、茶道の経済構造に関する著書を著した同志社大学経済学部助教の太田 直希氏による報告と、裏千家業躰金澤宗維氏、茶道・歴史研究家宮下玄覇氏を交えて、茶道文化の構造を議論しました。研究者、実務者、学生、一般の方まで、約80名もの参加がありました。


増田晶文氏による基調講演「江戸の出版人 蔦屋重三郎〜大ヒット連発、その異才と反骨」
動画リンク https://youtu.be/tDWC5xdTAbs?si=lhLNDTb-0cmJAKl4

太田直希氏による「茶道文化圏の構造」に関する報告
動画リンク https://youtu.be/EyfTFSwfG_Y?si=3OeQG2H5sA0IxqKX

金澤宗維氏による報告
動画リンク https://youtu.be/WjGGExHEQX0?si=i8351bO0TefQeP-k

パネルディスカッション
動画リンク https://youtu.be/bTGwYrdWHWU?si=0Z0x3ZAAn0y4knB0

総括シンポジウム

京都シンポジウム 「デジタル文化の展望と課題」
-文化政策の持続可能な未来に向けてー

日 時:2024年11月16日
時 間:13:00-17:30
会 場:同志社大学

本シンポジウムはプロジェクトの総括のため、イギリスからプロジェクトメンバーおよび外部研究者を招聘し、京都にて、特にテーマ3に焦点を当てつつテーマ1,2も振り返り、文化政策の持続可能な未来を皆で議論しました。シンポジウムは後日動画をグローバルに発信することを目標に、英語のみで非公開の形で実施しました。プロジェクト外からも以下の方々が参加し、報告と講演を聞き、議論に加わっています。全てのセッションの録画(使用言語は英語、日本語字幕付き)には下記よりアクセス可能です。

参加者:
河島 伸子、八木 匡、迫田 さやか、佐野 直哉、小林 瑠音
ヘギョン・イー、サルバトーレ・ディ・ノーヴァ、ジョセファ・ベルトリーニ
ダニエル・アシュトン(サウサンプトン大学、ウィンチェスター美術学校)
徳井 直生(アーティスト)
菅野 幸子(AIR Labアーツプランナー/リサーチャー)
大山 真司(立命館大学教授)
照井 敬生(西安交通リヴァプール大学、英国文化政策、KCL)
スヒュン・キム(京都大学、大阪公立大学)

使用言語:英語

プログラム
・イントロダクション(ヘギョン・イー, 河島 伸子)
本研究プロジェクトの概要
動画リンク https://youtu.be/_3qmUYwjj_Q
・開会挨拶 河島 伸子(同志社大学教授)
デジタル文化の展望と課題
動画リンク https://youtu.be/tEcKY3as8CA
・パート1: デジタル文化の消費と構造
調査報告
日本とイギリスにおけるデジタル文化と文化政策
イギリス:サルヴァトーレ・ディ・ノーヴァ / 日本:八木 匡、河島 伸子
動画リンク https://youtu.be/BYTTm0Yu9GY
ディスカッション 動画リンク https://youtu.be/tpO6qfjZlIE
・パート2: AI, 創造性、そしてアーティスト
講演 「人工知能…芸術作品、芸術家と芸術世界」ダニエル・アシュトン
動画リンク https://youtu.be/cOk-QrBrHXI
ディスカッション 動画リンク https://youtu.be/YJxew3Vw4Qo

報告「AI時代における人間文化労働の再評価」ジョセファ・ベルトリーニ
動画リンク https://youtu.be/_jRHBRyG2Tk
ディスカッション 動画リンク https://youtu.be/pNbT3RuE7VU

ゲスト講演 「生成型AIの未来―アーティストの視点から」徳井直生
動画リンク https://youtu.be/pdQ3b6Vgn6k
ディスカッション 動画リンク https://youtu.be/pRDuTW0NCo0
・閉会の挨拶動画リンク https://youtu.be/_3ox3FDBgrw

パート1では日英におけるオンライン文化への参加状況と生成AIに関するアンケート調査の結果が報告されました。イギリスの方が全体にオンライン文化に活発であるものの、日本でも同様にオンラインでの文化体験が加速化していることが明らかとなりました。AIに対しては、イギリスでは懐疑的な傾向が強く、アーティストの仕事を奪うことになるのでは、という懸念が強いことがわかりました。一方、日本では調査対象者の間に迷いがあり、まだそのように強い懸念、反感が生じていないことが対照的でした。また日本では、オンライン文化活動に活発である人ほどAIのプラス面もマイナス面も多く指摘する傾向が見られることは興味深い結果でした。オンライン文化空間をよく理解しており、そこにおける現在の秩序を保持したい、これがフェーク動画などで満ち溢れて人々から葬られるような事態になって欲しくない、という気持ちの表れかもしれません。

パート2では、特にイギリスにおけるAIアーティストの生成する作品に対して社会がどのように反応しているか、ということをAIロボットAIDAの活動を紹介しながら論じました。創造性、現代アートとは、といった点に関するこれまでの常識が変容しつつあることが指摘される興味深い報告でした。また、イギリスで主流である「AIが人間のアーティストの仕事を奪っていくのではないか」という懸念を表明する報告が続きました。これに対して日本側からは、実際にAIを利用するアーティストの活動と意見が表明され、AIにより思いもよらない結果が生まれアートの領域が広がる可能性があること、AIの動きを制御することに面白さがあるという話も紹介されました。パート1での調査報告と照らし合わせると、日英における生成AIへの国民感情や世論の形成程度の差があるのかもしれません。AIについては規制・利活用・権利問題など政策的に未知数な部分が大きく、その一方で発展する技術に、制度・政策、人々の感情が追い付いていない現状です。COVID-19が文化の世界を揺るがしたことを起点に考察を始めた本研究プロジェクトは、日進月歩の勢いで進む技術革新が未曾有の文化的変容を起こすことを展望し、今後の研究成果の出版活動等に結び付けていきます。